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「継ぐ者」の構成をまとめてみた

「継ぐ者」って、深い森の奥底で、精霊がひそやかに踊るダンスという感じで、神秘的で抽象的なプログラムという印象が強いんですけども。衣装とか、緑を基調とした照明(当然町田くんの意向が反映しているはず)とか見ると、「森」というイメージは確かにあると思います。

でも、町田くんがわざわざ公式サイトで、シューベルトが即興曲を作曲したのが、こよなく尊敬したベートーヴェンの死と同年であることとシューベルトはその葬儀に参列したことに言及した上で「ベートーヴェンその人に思いを馳せながら作曲したのかも」という推測を述べているところから、そのシューベルトの心象風景を表現したものではないかとふと思いまして。

それに「継ぐ者」という標題を重ねた時、ベートーヴェンの死に直面したシューベルトの喪失感と悲しみ、彼から受け継いだものを見つめ、深く思索をめぐらし、それが自分を通じて次の世代へ引き継がれていく未来を展望する、そんな一人の芸術家の心の動きというストーリーがおのずから立ち上がってきたように感じたのです。
そうすると、「森」のモチーフも「妖精の棲む深い森」というイメージから「木漏れ日の煌めくウィーンの森」、もの想いに耽りながらそぞろ歩く芸術家というイメージへと変わっていきました。

そこで、そのストーリーをもとに、シューベルト「4つの即興曲 作品90/D899」第3曲の構成に沿って、プログラムの構成をまとめてみました。

A1:変ト長調 主旋律。
ジャンプ 3T,2A
印象的な冒頭の何かを両手で抱え上げ空へ放つような振りから。祈るように両手を組む振付。全体的に顔が俯き気味で、ベートーヴェンの死に臨んで、悲しみ、悼む気持ちが表現される。

B:変ロ短調 マイナーな曲調に変化。
ジャンプなし パートの最後でキャメルスピン
フォルテと共に激しくステップを踏む。自分の中にあるベートーヴェンから受け継いだものに向き合う。

C 変ロ短調
ジャンプ 3Lo×2 ショートサイドで静止して天を凝視 パートの最後でコンビネーションスピン
ベートーヴェンから受け継いだものをめぐる思索は自分を通じて後の世代に引き継がれていく未来へと移ってゆく。

A2:変ト長調 主旋律に戻る。
ジャンプ 3F,3S
A1と比べて全体的に顔が上向きで柔らかく舞うような動きが多い。悲しみを未来への展望へと昇華してゆく。

コーダ:3Lz LSp 手を差し伸べて捧げるようなポーズでフィニッシュ
亡き偉大な先達から継承したものを、未来の継承者へと差し出す。

Je te veuxのような明確な演劇的表現がある訳ではないので、あくまで自分の推測ですが。こうした物語を想定しなくても、ピアノの音を一つ一つ丁寧に拾い、バレエ的な動きも効果的な表現として用いられた、とても美しい作品ですね、と改めて。

すいか | 町田樹 | 22:57 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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